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「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令の施行について」

(平成9年3月27日付薬発第424号厚生省薬務局長通知)から抜粋


3.各条について

(1)第2条関係
第5項の「生データ」とは、ワ−クシ−ト、ノ−ト、覚え書き又はそれらの正確な転写等の最終報告書の再構成と評価に必要なものをいい、写真、マイクロフィルム、マイクロフィッシュ、コンピュ−タ−記録、観察結果が口述された磁気記録、自動装置により記録された試験結果等を含むものであること。

(2)第4条関係
第2項の「確認」の方法は、各事例ごとに適切な方法をとればよく、必ずしも委託者による受託者への実地の調査を必要としないこと。
第3項の「文書による記録」にうち通知の記録は、契約書その他の文書への記載により行ってよいこと。

(3)第5条関係
第2項の「保健衛生上必要な注意」には、試験に従事する者の業務の遂行に適した着衣の使用、試験の信頼性に悪影響を及ぼす疑いのある疾病にかかっている者の上司への報告と健康状態が改善されるまでの間の試験への関与禁止等を含むものであること。

(4)第6条関係
第1項第2号の「指名」は試験責任者の交替の際の指名も含むものであること。

(5)第9条関係
第2項の「飼育施設」は、必要に応じ次の各号に定める機能を果たし得るものであること。
(ア)種別又は試験系別の分離飼育
(イ)試験計画ごとの分離飼育
(ウ)動物の検疫
(エ)通常の又は特殊な動物飼育
第2項の「動物用品供給施設」は、必要に応じ飼料、床敷、補給品及び機器の保管場所としての機能を果たしうるものであること。
第2項の「その他必要な施設設備」は、次のものを含むものであること。
(ア)揮発性物質、放射性物質又は感染性因子等を用いる試験を他の飼育施設と隔離して実施しうる動物室又は区域
(イ)疾病動物の隔離及び治療ができる設備
(ウ)試験系からの廃棄物を収容し、衛生的に処理する設備又は試験施設から搬出するまで廃棄物を安全かつ衛生的に保管する設備
第3項の「被験物質等の取扱区域」は、被験物質及び対照物質の汚染又は混同を防ぐために、次の各号に定める機能を果たしうるものであり、かつ、これらの物質の品質が保持されるように設計すること。
(ア)被験物質及び対照物質の受領及び保管
(イ)被験物質又は対照物質と媒体との混合
(ウ)被験物質又は対照物質と媒体との混合物の保管
第3項の「試験操作区域」は、生化学検査、病理組織学的検査等の定期的な測定業務及び各種の操作を行うため、必要に応じ分離されたものであること。
第3項の「その他の試験を適切に実施するために必要な区分された区域」は、次のものを含むものであること。
(ア)バイオハザ−ドの対象となりうるような動物又は微生物の構成部分を使用する場合の隔離区域
(イ)試験実施中に使用される補給品及び機器の洗浄、滅菌並びに保存のための分離された区域

(6)第10条関係
デ−タの収集、測定又は解析に使用する機器は、テスト、校正及び標準化のうち必要なものを適切に実施しなければならないこと。

(7)第11条関係
標準操作手順書は運営管理者の責任において作成するものであること。
標準操作手順書を補足するものとして文献等を利用することができること。
第1項第1号の「管理」には、各部門における受領、表示、保管、取扱い、媒体との混合及びサンプリングの方法等を含むものであること。
同項第2号の「機器の保守点検及び修理」には、機器の点検、清掃、保守、テスト、校正及び標準化の方法及び実施計画(スケジュ−ル)並びに機器が故障あるいは機能不全を生じた際にとられる修理手続を明記すること。

(8)第12条関係
第2項の規定により「隔離」した動物については、必要に応じ、試験に支障を来さない限り試験責任者による治療措置の承認を受けて治療を施すことができること。この場合において、治療を必要とした理由、当該治療措置の承認、治療法、治療薬剤、治療の日付、治療結果等を記録し、保管しなければならない。
第4項の「必要な措置」には、次の各号に定める措置を含むものであること。
(ア)必要に応じ、室内で各動物を識別するための情報をケ−ジ、檻又は架台の外部に明示すること。
(イ)異種の動物は、原則として別々の飼育室に収容すること。
(ウ)同一の飼育室に同種の動物を収容し、異なる試験に使用する場合には、空間をおいた適切な区分及び識別を施すこと。
第5項の「衛生的に管理」には、次の各号に定める措置を含むものであること。
(ア)動物のケ−ジ、檻、架台及び附属装置については、清浄かつ衛生的に保持されるよう適切な間隔で所要の措置を講じること。
(イ)動物のケ−ジ又は檻に使用される床敷については、試験の目的又は実施に支障を来すものであってはならず、かつ、動物を乾燥した清潔な環境に置くため、必要な頻度で取り替えること。
(ウ)動物の飼料及び水については、試験に支障を来す可能性があり、かつ、その存在が予期され得る混入物が試験計画書において設定されたレベル以上に存在しないことを確認するため、定期的に分析すること。この場合において、その分析の記録は、生デ−タとして保管されなければならない。
(エ)適切な試験に実施に支障を来すような洗剤又は殺虫剤は、これを使用しないこと。
(オ)洗剤又は殺虫剤を使用した場合には、記録すること。

(9)第13条関係
第1項の「適切な管理」には、次の各号に定める措置を含むものであること。
(ア)適切な保管場所を確保すること。
(イ)汚染や品質低下のおそれのない方法で配布を行うこと。
(ウ)配布の過程を通じて、必要な表示を行うこと。
(エ)被験物質及び対照物質の同一性、含量又は力価、純度、組成等これらの物質を規定する特性については、試験施設が原則として試験開始前にロットごとに測定し、その結果を記録すること。この場合において、対照物質として市販の製品を用いる場合は、その物質を規定する特性についての表示を記録することにより、これらの測定又は記録に替えることができること。

(オ)被験物質又は対照物質の安定性については、原則として試験の開始前に測定すること。試験開始前に安定性を測定できない場合にあっては、安定性試験に関する標準操作手順書を定め、それに従ってロットごとに定期的に分析を行なうこと。
(カ)被験物質又は対照物質の保管容器ごとに名称、略名又はコ−ド番号及びロット番号を明記するとともに、有効期限のあるものについてはその日付、特定の保管条件が必要であるものについてはその条件を、それぞれに明記すること。
なお、この場合において、専用の保管容器の特定が必要とされる被験物質については、その旨を指定すること。
第2項の「測定等により適切に使用」には、次の各号に定める措置を含むものであること。
(ア)被験物質又は対照物質を媒体と混合して使用する場合には、原則として、被験物質等の投与開始前に混合後の被験物質又は対照物質の安定性を測定すること。投与開始前に安定性を測定できない事情がある場合にあっては、安定性試験に関する標準操作手順書を定め、それに従って定期的に分析すること。また、必要に応じ、被験物質等の投与開始前にその均一性を測定するとともに、混合物中の被験
物質又は対照物質の濃度を定期的に測定すること。
(イ)混合物中の各成分については、使用期限があるときはその日付を保管容器に表示すること。この場合において、2以上の成分につき使用期限があるときは、早い方の日付を表示するものとすること。

(10)第15条関係
試験計画書は試験責任者の責任において作成するものであること。
第1項の各号には次の内容を含むものであること。
(ア)第5号の「被験物質及び対照物質に関する事項」には、その名称、略称又はコード番号
(イ)第6号の「試験系に関する事項」には、その種、系統、数、年齢、性別、体重範囲、供給源、選択の理由及び識別方法
(ウ)第7号の「試験の実施方法に関する事項」には、偏りを小さくする実験計画法、試験系の環境条件、飼料の名称又はコ−ド番号(混在する可能性がある汚染物が一定の濃度以上含まれていると、試験の目的又は遂行に支障を来す場合にあっては、その許容濃度の設定も含む。)、被験物質又対照物質の溶解又は懸濁のために使用される溶媒及び乳化剤並びにその他の媒体として使用される物質、被験物質及び対照物質の投与経路及びその選択理由、被験物質及び対照物質の投与量、投与方法、投与回数及び投与期間並びにそれらの選択理由、準拠する毒性試験法ガイドライン名(該当する場合)並びに実施される観察、測定、検査及び分析の種類、頻度、実施方法及び日程

(11)第16条関係
第1項の「適切に実施」には次の内容を含むものであること。
(ア)試験ごとに固有の識別が定め、試験に関する記録、標本等にはこの識別を行うこと。
(イ)標本には、試験の種類、試験系の識別番号及び採取日を適切な方法で表示すること。
(ウ)組織標本の病理組織学的検索を行うときは、当該標本についての剖検時の肉眼的観察記録が当該検索を担当するものにより利用できるようにすること。
第2項の「適切に記録」には次の内容を含むものであること。
(ア)生デ−タは、コンピュ−タ−に直接入力する場合を除いて、容易に消すことのできない方法で、直接、直ちに、かつ、読みやすく記録すること。
(イ)コンピュ−タ−により直接生デ−タを記録する場合にあっては、生デ−タの入力の日付及び入力者を記録すること。
第3項の「適切に訂正」には次の内容を含むものであること。
(ア)生デ−タの記載事項の訂正については、最初の記載事項を不明瞭にしない方法で行うとともに、その変更の理由が明示され、かつ、変更の時点でその日付及び変更者の署名又は記名なつ印を行う等、訂正者の確認ができるようにすること。また、コンピュ−タ−に記録された事項の訂正についても、最初の記載事項を不明瞭にしない方法で行うとともに、その変更の理由及び日付並びにその入力者を記録すること。

(12)第17条関係
最終報告書は試験責任者の責任において作成するものであること。
第1項の各号には次の内容を含むものであること。
(ア)第4項の「試験責任者その他の試験に従事した者の氏名」には、その業務分担
(イ)第5項の「被験物質及び対照物質に関する事項」には、その名称、略称、又はコ−ド番号及びロット番号並びに同一性、含量又は力価、純度、組成等これらの物質を規定する特性及び投与条件下における安定性
(ウ)第6項の「試験系に関する事項」には、種、系統、数、年齢、性別、体重範囲、供給源、入手年月日及び飼育条件
(エ)第8項の「試験の実施方法に関する事項」には、被験物質又は対照物質の投与経路、投与量、投与法、投与回数、投与期間及び投与量設定の理由並びに実施された観察、測定、検査及び分析の種類及び頻度並びにこれらの実施方法

(13)第18条関係
第1項の「適切に保存」には、次の内容を含むものであること。
(ア)標本又は生デ−タを最終報告書と別に保管するときは、当該最終報告書を保管する施設においてその旨を記録すること。
(イ)試験関係資料は被験物質、試験系及び試験の種類ごとに索引をつける等、検索に便利な方法で整理し、保管すること。
第1項の規定による試験関係資料の保存期間は、薬事法施行規則第26条の2の3(第27条において準用する場合を含む。)、第26条の5第3号ハ及び第26条の12に規定する期間とする。ただし、組織化学標本、電子顕微鏡標本及び血液標本等、保管中に品質が著しく変化する湿標本及び特別に作製された標本の保管期間は、その品質が評価に耐えうる期間とする。


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